「コルジナBG機関〜??」
レオンは口をへの字に曲げて聞く。
「えぇ、護衛オンリーの機関よ。ボディーガードってやつ。」
「あ、あそ。」
レオンはリウの答えにそっけなく言葉を返した。
見るからにしっかりとしたこの少女。その表情を見るに隙なんてないとも思わせてしまうのに・・・・・・
「でも、本部所属とはすごいタトゥね〜。まだ見るからに子供っぽ」
ドバキィ
すごい音とともにテラは宙に舞う。
「・・・・・・・・子供って言うな!!」
「・・・・じゃあ、何歳だ?」
「・・・・・・・・・・11だけど。」
「ガキじゃん。」
ドコッ
「っってーーーー!!!!!!!!!」
レオンのスネあたりにリウのかかとがヒットする。
あまりの痛さにレオンはしゃがみこんだ。
そう。どう見ても彼女は子供だ。身長も低く、顔も姿も幼い。
こんな子供がボディガードの仕事をしているというのだ。まぁ、先ほどのリウの行動を見る限り、信じるしかないのだが。
「・・・・ん?でも、そのボディーガードたんがなんでこんなところにいるタトゥか??」
「・・・・・・・・・・・・・それは。」
キョロキョロとまわりを見渡す。まわりにはしつこく舞っている砂煙と、しゃがみこんでいるレオンと、ほけ〜っとつっ立っているテラ。
リウはふぅっと息を吐いた。
「まぁ、いいや。・・・・・・・私はエリス・グラティスを護衛するためにここに来たの。」
「エリスをか??」
レオンは問いを投げると、リウはこくんとうなずいた。
「・・・・・・・・・正確にはエリス・グラティスが所持しているあの石かな。」
「石??」
「・・・・・うん。って、その当の本人はどこよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
―― 忘れてたーーーー!!!
「ど、どこだよ!!ってか、無事なのか?!あいつ!!」
「タトゥに聞かれても!!!」
「あんたらってマヌケ??」
リウは呆れた顔して、レオンたちに言葉を指す。
だが、ずっと漫才しているわけにもいかない。リウの表情が真剣そのものへと変わる。
「っっ・・・・!!」
「・・・っな!!いきなり・・・・・空気が冷たく・・・・・っっ!!」
レオンは急な変化にぐっと肩を持ち、身構える。
冷たい風と重い空気にどんどん変わっていく。
砂煙であまり様子がわからないが、さっきと違うというのはみんな確信できた。
「ど、どうしたタトゥか?!二人とも!!!」
いきなり顔色を変えた二人に動揺するテラ。
レオンは持っている鎌で魔方陣を描いた。発動とともに一気に強い風が吹いた。
砂煙は吹き飛ばされ、やがて消えたが空が暗い。
「・・・・・っやっぱりな!!!」
そこには無数の悪魔がいた。エリスの姿は見当たらない。
リウは目を丸めて言う。
「・・・・・・・・・な、何??・・・・この数。」
「まぁ、ビビるよな〜。初めは!」
「・・・・・・初めって・・・・・これ日課なわけ??」
「・・・・らし〜な!」
リウの応答にレオンは楽しそうに答え、鎌を振るう。
死神がなにもかもを刈ってしまうかのように、するどくすばやい光の筋を作りながらどんどん悪魔を倒していく。
「こいつらの狙いはエリスだぜ??当然、手伝うよな??」
「・・・・・・・・・ばっかじゃないの!!」
リウはそう言い捨てると身に着けているグローブを剣へと変化させる。
「・・・・・・・・あたりまえでしょ??」
リウは前へと足を運び、悪魔の集団へ飛び込んでいく。
剣が閃き、悪魔をどんどんと貫く。
リウとレオンが戦う最中、テラだけがその場を忙しくばたばたしていた。
どうしていいかもわからず、とりあえずレオンの元へ行く。
二人がかりで悪魔退治をするも、その量は計り知れないほど多い。
もはやこれは体力勝負。時間の問題のように思えた。
「も、もぉっ!キリがないわっっ!!」
「て、テラ邪魔だっ!!お前もとっとと手伝いやがれっ!!」
「無理タトゥよっ!!さっきから一応ツメで切ってるけど、硬すぎてぜんぜん効かないタトゥ!!」
三人が口々に言葉を発する。その間にも悪魔は増え、そして減っている。
そのときだった。
ズシャッ
鈍い音がした。
今までになかったような鈍い音が遠くから。
それとともに悪魔がバタバタと倒れていく。
すごい速さで・・・・。
「・・・・・・・こ、今度はなによ・・・・。」
「知らねーっての!!」
あまりのすごい出来事にリウとレオンは手を止める。
レオンが攻撃をしたわけではない。リウが攻撃をしたわけでもない。
悪魔がすべて倒れたとき、そいつは姿を現した。
赤い服を着た女だった。
紫の髪は肩まで長さ。するどい紫の目つきがきゅっと周りを見渡す。
悪魔が消えたことを確認したその女は血を塗られた体より大きな剣をゆっくりと地面におろした。
「・・・・・・・・・・あんたら誰??」
「いや、お前が誰なんだよ。」
女の問いにレオンが聞き返す。その問いに彼女は声をあげて笑う。
「おぃおぃ。なにがおかしーんだっての。」
「いやいや、私の名前を知らないなんてね。」
女は腰に手を当てて、クスッと笑った。
その笑みこそも皆をゾクゾクと恐怖に誘う。
「私の名前はチェイン。チェイン・グラティスよ。」
女は不敵な笑みをかざしながらレオンに答えた。