ドォン
森の中で激しい魔法合戦が続く。
原因は言わずとも、あの二人だ。
ミノサロウドとレオン。
しかし、それも時期に収まる傾向に入っていた。
「・・・・っ・・・これで最後です。」
ミノサロウドは魔力を溜める。どうやら、キツイのが一つレオンにぶつけられるらしい。
レオンはかなりのダメージを受けていた。
もうすでに、右腕は動かない。
それどころか、体中が痛み動けない様子だった。
「はっ・・・ま、まぢキツイな・・・・。」
レオンはカマは持ってゆらゆらと立ち上がる。
― リウはもうすでに終わってるな。テラの方も終わりそうだ。
レオンはふぅっと、ため息をつくとキッとミノサロウドを睨む。
限界は近い・・・・だが。
あきらめるわけにはいかない。
「あいつら二人勝ってんのに俺だけ負けはないだろ。」
レオンは力を振り絞り、魔法を唱える。
絶対に・・・・・あいつが帰ってくるまでは負けねぇ。
・・・・・・・・・・・・エリス。
「・・・・っいきます!!!」
「・・・・・・・・・っっ!!」
ミノサロウドとレオンが同時に魔法を打とうとしたその瞬間。
森に光が宿った。
二人の手が止まる。
「なっ!!まさかっ!!」
ミノサロウドは光の出先を見る。もちろん、それは少女の像がもつ鏡からの光。
「・・・・・・どうやら帰ってきたようね。」
のろいはくすっと笑った。
丸く光る光が鏡の中から出てきた。
その光は地面へと降りると人型を成す。
「・・・・・・・・・ただいま。」
紫の髪をした女が片手で剣を持って立っていた。
至って、正常な状態で。
「ちぇ、チェイン・・・。」
「チェインたん。」
リウとテラが・・・チェインの名前を自然と言った。
のろいは「おかえり」っと声をかける。
「・・・・・・・遅ぇよ。」
「死にかけてる奴が偉そうに言うんじゃないわよ。」
チェインはレオンを冷たく言葉で切ると、ミノサロウドに近づく。
ミノサロウドはチェインを睨んでいた。
「・・・・・・統合・・・・・しちゃいましたか。」
「ふふっ・・・残念ね。ミノサロウド。」
ミノサロウドは周りを見る。
チルレットは地面に倒れたまま、ロウはのろいに掴まれている。
クロは黙ってミノサロウドを見ていた。
彼はふぅっとためいきをついた。
「・・・・・しかたないですね。退きますか。」
「・・・っでも!!」
「これは・・・・あの方の命令でもありますよ??」
「・・・・・・・・・・・」
クロは黙ると、こくりとうなずく。
ミノサロウドはチルレットをひょいっと持つ。
クロはロウを迎えに行った。
「・・・・・・・あら。ロウちゃん帰っちゃうの??これからだったのに・・・」
「・・・・・・・・・」
「ちょ、早く返せよ。」
リウに言われてようやく、ロウを手放すのろい。
のろいはひそかに舌うちをした。
「・・・・・・・また負けてしまいましたね。しかし、次はこうもうまく行くとは思わないでください。」
「見逃してもらうだけいいと思って、さっとと帰りなさい。」
リウはそう言うと、ミノサロウドたちは消えていった。
「・・・・・・・終わった。」
レオンがつぶやく。
えぇ、そうねっとのろいが言った。
「や、やったタトゥー!!チェインたんが生きてるタトゥー!!エリスたんが戻ってきたタトゥー!!」
テラは体全体で喜びを表現していた。
チェインは皆の様子にふっと笑った。
「・・・・・・ありがとね。ホント。」
「いや、かまわねぇよ。」
「私たちはただついてきただけだしね。」
リウとレオンがそう言う。
テラはまだぴょんぴょんはねている。
「・・・・・・それに・・・・・仲間だしな。」
レオンがニッと笑う。
仲間・・・・・か・・・・・。
チェインは目をつぶった。
すると光を宿し、彼女は姿を変えた。
エリスという・・・・女性の姿に。
「・・・・・・み、みんなっ!!」
彼女はにっこりと笑って、みんなの元へ駆け寄った。
ピピッ ピピッ
その夜・・・・静まった空間に小さく音が鳴り響く。
音を出していたのは、持っていた通信機。
ピッ
「・・・・・はい。こちらコルジナBG本部所属、リウ・ティルナ。」
重たいまぶたを開け、目をこすりながら通信機に言葉をかける。
しばらく話を聞き、そして大きく目を開けた。
「・・・・は、はい。明日、そちらへもどります。」
通信機を切り、窓を見る。
そして、ふぅっとため息をついた。
「いよいよね。時は来た。」
彼女は再び、体をベッドに戻し眠りに着いた。