「俺の最上級の魔法を返すたぁ。ちっと、マジやべぇな。」
レオンは苦笑いをし、厳しい表情で彼を睨んだ。
彼から受けたダメージがズキズキと傷に響く。
レオンはぐっと、傷口を抑え息をもらした。
「・・・・ま、私も精一杯ですがね。」
ミノサロウドは彼の魔法を返したものの、息は切れ体力的にも危うく、必死のようだ。
ミノサロウドは変だと感じていた。
魔道士のわりには、レオンは全てにおいて戦闘能力は高かった。
力、すばやさ、敏しょうさ、魔力。
スタミナも違う。人とは思えぬ嗅覚もあった。
そして、何よりも治癒能力人並みではないと言う事。
さっき怪我をしていた場所も、もうすでに完治しかけている。
いくら魔族と言えどもおかしいと思うところが何点か、彼には見える。
「あ、あなたは本当に魔族なのですか??」
ミノサロウドの突然の質問にレオンはきょとっとしたが、ニヤリと笑うとまた魔力を練りあげ呪文を唱える。
「・・・・・・・・半分正解で、半分不正解だ。」
レオンは魔力放出し、彼に大きな黒い電気玉をぶつけた。
「・・・・・・・・さ、作戦??」
チルレットは首をかしげた。リウがボソッと言ったその言葉。
リウはふらふらとした足つきで構える。
そして、グローブを剣へと変えた。
「二刀流のあたいに一本の剣で挑むつもりかぃ?」
無謀だっと言うチルレットの意見をまるで無視してニヤリと笑う。
「それは、どうかしら?」
リウはすばやく、チルレットに近づいた。
チルレットもリウの動きを目で追い、攻撃を順々とかわしていく。
「はっ!!」
「甘いっ!!」
やはりさっきのダメージが効いているだけあって、リウの攻撃はほとんどあたらない。
たとえ当たってしまったとしても、ガードされるだけだ。
チルレットは余裕の笑みを見せていた。
っと、いきなり攻撃の仕方を変えたのか・・・・リウは体ごとチルレットに突っ込み、剣で突いてきた。
チルレットはとっさのことに避ける事で精一杯だが、リウも体ごとだ。反撃はできない。
「この勝負・・・・もらったっ!!」
チルレットはすばやく振り返り、大きく円を書くようにハンマーでリウを殴ろうとした。
「!?」
「・・・・・・残念ね。」
リウは拳銃を構えてチルレットの前にいた。
武器を剣から拳銃へと変えていたのだ。
このスピードから行くと、リウの方が早く事を進められる。
その上、相手は利口のリウだ。確実に狙うは急所。心臓だ。
「ちっ!!」
ドン
銃から玉が飛び出し、チルレットに向かってくる。
「当たれっ!!」
リウが叫ぶ。
「・・・っ・・・当たらないよ!!」
チルレットは攻撃をやめ、すばやく防御の体制に入る。
しかし、勢いあまったせいか・・・・体が思うように動かない。
腕に銃弾はかすったものの、当然急所にはいたらなかった。
「?!」
「ふぅ。危ない危ない。」
チルレットは銃弾がかすった腕を抑えると、にやっと笑う。
「残念だったね。お譲ちゃん。最後の賭けも当たらなかったみたいで。」
「・・・・・・・・終わり・・・ね。」
リウはぐっとチルレットを睨みつける。
とたん、チッと軽い痛みがチルレットに電撃のように響く。
その瞬間、彼女は地面へと倒れてしまった。
「あ、足が・・・・・動かない。」
「当然でしょ。足の神経を切ったんだから。」
リウの手には二つの武器があった。
銃とそして、刃のついたブーメラン。
「ちょうどグローブは二つあるの。右手と左手とね。それに、私の武器はグローブだけじゃないわ。私の魔力もそのうちの一つよ。
たとえ遠くに武器があったって、魔力を練る事で手に触れなくとも武器を変える事ができる。」
リウはチルレットに近づき、クロスハンマーを取り上げ遠くへ投げ捨てた。
「まっ、あの銃弾はいわば、カモフラージュね。ただのグローブを銃弾に変形させ、その後にブーメランに変えたまでよ。」
持っていた二つの武器を、元のグローブへともどした。
チルレットはちっと舌うちを残し、悔しさをこらえていた。
「殺すつもりはないわ。でも、今は寝てなさい。」
リウはふぅっと、息をつくとヘタンと座りこんだ。
― ほんとは手伝ってもらったなんて言えないわね。
リウは悔しそうに、チルレットの方へ目を向ける。
チルレットの後ろにいるのろいはぐっとガッツポーズをした。