「町に着いたよ!テラ!!」
エリスは両手を広げ、嬉しそうに言った。

この町はタカイナという小さくも発展した町で、列車や車、さまざまな便利な機器がたくさんある。
最近では携帯できる電話まで作られているとか。
そのせいか、人もたくさん移住するようになってきたらしい。
将来、大都市になるだろうと言われるほど、最先端にたつ町なのだ。

「テラお店見てまわろうよっ!!」

「もち、行くタトゥ!!んでもって、いっぱい食べるタトゥ!!」

二人ともすごくはしゃいでるようだ。テラはお腹が減っているのか、食べることで頭がいっぱいだが。

「じゃあ、先にご飯ですねっ!!」

「ちょぃそこのねえちゃん。」

ふと声が聞こえた方を見ると、いつのまにそばにいたのか・・・赤い髪をした男性がやや腰を低くして、エリスの影に隠れていた。

「なっなっ?!」

「しっ。ちょいかくまってくれへん?」

彼はそう言うと、手に持っていたキャップを被った。
それから間もなく、黒い服を着たエイジェントっぽい人達が「あっちか?!」「こっちか?!」っと、言いながら、エリスたちの前を走っていく。
それを見送ると、ふぅっと安心の息をつき、エリスの前へと出てきた。

「いやぁ、助かったわぁ!!もうさすがにあかんのちゃうんかなぁって思てたんやわぁ!!」

「・・・は、はぁ。」

エリス・・・いや、もちろんテラもだが、目を見開き、何が起こったのかわからない様子。

「ホンマありがとうな!!あんたらはぁ〜・・・・・・」

いきなり彼の動きが消える。
エリスはどうしたのかと首を傾げると、その男性はまじまじとエリスの顔を見る。

「えっ、うっ??」

「・・・め、めめ」

男はエリスの肩をガシッと掴んだ。そうかと思えば、エリスをぎゅっと抱きしめる。
そして、混乱しまくりのエリスを見ながら、ニマッと笑った。

「めっちゃかわいぃやん!!」

「は、はいっ?!?!」

「彼女になってw」

「?!?!?!」

「むしろ、結婚して!!」

「え゛えええぇ!?」

思わぬ言動にさらに混乱しまくるエリス。
テラはポカンと口を開け、固まっている。

「なぁ?あかん??」

「いやいやいや!!け、結婚って!!!」

「あはは!焦ってるwめっちゃかわいい!!」

からかっているのか。それとも本気で言っているのか。
いずれにせよ、エリスを困らせる選択。

しかし途中、テラはエリスがついに何も言わなくなったのに気づき、サッと血の気をひかせた。

「タ、タヒョ・・・そろそろやめとかないとっ!!」

「へっ?」

テラが男に忠告するが、すでに遅し。


「気安く私に触ってんじゃないわよ、このでしゃばりん子がああぁぁ!!」


ドスッ

いきなりキレだしたエリスは男の腹を思い切り殴った。
その速さはまさに光りの如く。
男はうめきながら、地面へと伏せてノックアウトしてしまった。

「た、タヒョ〜。遅かったタトゥ〜。ち、ちょっとやりすぎじゃないタトゥか?チェインたん?」

エリスの姿をしたその人 ―チェインはふんっと顔をそっぽ向けた。

あれ以来(鏡の泉の時)、エリスの姿をしていても人格のみを変えることもできるようになったチェイン。
もちろんエリスも同様のことが出来る。

それだけじゃなく、彼女らは心を通じ合い、会話もできるようにもなったんだとか。



まあ、それはともかく。


「どうするタトゥか?この人。」

「ほっとけば?」

「いやいや、それはさすがにまずいタトゥよ!!追われていたみたいだったし。」

「そんなのこっちは知ったこっちゃないわよ。・・・・っと言いたいとこだけど。」

エリスの体から光りを放つと、チェインの姿に変わった。
ひょいっと軽々、男をかつぐと、ふぅっと息を吐いた。

「エリスに免じて、連れていってやるわ。行くわよ、ハゲ。」




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「いやぁ、びっくりしたわぁ。あんた変わった二重人格やねんなぁ。」

男は笑いながらチェインを眺め、テーブルに置かれた水を飲み干す。
チェインは機嫌悪そうにそっぽを向いたまんま、黙っている。

っていうか、姿すら変えたエリスを「変わった二重人格」で終わらせていいのかに疑問を持ちたいところだが、そこは笑ってごまかしてほしい。

場所は変わって喫茶店。ちなみに男はそこまでの道中で意識を取り戻した。


さて、一体彼は何者なんだろうか。
彼はチェインに対してにっこりと笑う。


「俺の名前はツグナ・トリグモや。あんたは?」

「・・・・チェイン・グラティスよ。んで、さっきのがエリス。」


「タトゥはテラタトゥ。」

チェインに至っては名前を言いたくなさそうだったが、おそらくエリスが後押ししたのだろう。
めんどくさそうに自己紹介をする。


「ふ〜ん、さっきの子はエリスちゃんって言うんやね〜。」

「次、エリスに変なことしたら、次こそぶっ飛ばすわよ??」

「そないに怒ったらかわいい顔が台なしやでチェインちゃん♪」

「きっ、気安く「ちゃん」づけするんじゃないわよ、気色悪いわね!!」


ダンっと音を鳴らして机を叩くチェイン。
それをまあまあとテラが押さえる。

「でも、なんで追われていたタトゥか??」

「あ〜。んっとなぁ。ちょいそのわけは言えへんかなぁ〜。」

ツグナはははっと笑って話を反らす。
まあ、そこまでして聞く必要はないだろうと判断したチェインとテラは、それ以上は聞かなかった。

「まあ、いろいろあって狙われてんねんよ!!でもそれを助けてもらったんやし、なんかお礼したいなぁ。」

「・・・・・・銭。」

「お金とるんっトゥか。」

まあ、チェインの冗談は置いといて。


「そやそや!最近この町にサーカスが来たんや!!広場のほうでやってるねん!!どうや?行かへん??」
「はぁ?サーカス??私はめんどく」
「行きたいタトゥ!!」

チェインの言葉を押しのけ、テラが目を輝かせて答える。
チェインはテラの肩を指でつつき、振り向き様に首を持つ。

「私の発言中に意見を言うなんて、いい度胸してるじゃないの。ハゲ〜。」

「ぬは・・・ぅ!!・・・く、くるし・・タトゥ・・!!」

ギシギシと音を立てて首を締められるテラ。
テラは苦し紛れに「ごめんなさい」と発言すると、ようやく開放された。

「まあ、しょうがないわね。・・・・私が嫌だと言ってもどうせ行くことになりそうだし。行くわ。」

半ば諦めが入っている発言だが、一応OKらしい。


「よっしゃ!じゃあ、行こか!!」

ツグナはニコッと笑って立ち上がった。












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